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ソフトウェア vs. サウンドカード - グラフから読み取れること

2007 NAMM Global Reportの28ページ目には、米国のコンピュータミュージック市場のここ10年間の気になる傾向が示されています。その内容とは、コンピュータ周辺機器(ハードエウェア)の売り上げの成長率がソフトウェアの成長率を大幅に追い越しているということです。

グラフのとおり、米国での1997年時点でのサウンドカードの総売上は約1500万ドル、音楽ソフトの総売上は約8500万ドルでした(ソフトウェアの売り上げとサウンドカードの売り上げの比率は5.66対1)。そして、1997年以降のサウンドカードとソフトウェアの売り上げは、共に大幅に増加しています。

しかし、これらの増加に比例関係がなく、この2,3年の間でサウンドカードの売り上げがソフトウェアの売り上げを完全に追い越す可能性があります。サウンドカードに対するソフトウェアの売り上げの比率が毎年少しずつ下がってきているのです。

では何故このことが重大な意味を持つのでしょうか?

サウンドカードが必要な人とは?

米国では(またはそれ以外の国であっても)、一般の消費者がコンピュータを購入する際に、コンピュータに内蔵されているデバイスの音質について気にする人は殆どいません。近年の平均的なコンピュータの音質は10年前のオーディオマニア向けのCDプレイヤーに匹敵します。ゲームや映画、mp3の再生など、日常的なコンピュータの使い方をする大部分の人にとっては充分すぎるほどの性能なのです。

それではどのような人が高品質なサウンドハードウェアを求めてお店に出かけるのでしょうか?

それは、恐らく今後さらに高いレベルで音楽制作をしたいと望む人たちです。殆どの一般の人が充分満足するほどのオーディオ回路に満足できないほど、音楽に対して真剣に取り組み始めた人たちです。そして、この人たちこそが潜在的な音楽ソフトウェアの顧客なのです。音質をグレードアップする人たちは、新しいオーディオハードウェアに見合った優れたソフトウェアツールを手に入れたいと考えるはずです。

私たちはこのことに期待をします。サウンドカードの売り上げとソフトウェアの売り上げが相互に関係することに期待を持つのです。

2003年に安価なブロードバンドが普及

価格の急落や、大規模なプロバイダーによるケーブル/電話回線を利用した一般向けサービスの普及によって、 2003年には米国のブロードバンド普及率が大きく上昇しました。2001年から2003年の間に米国でのDSLの契約者数は3倍近くになり、使用率は実に182%上昇しました。同じ時期にケーブルインターネットユーザーは91%上昇し、660万ユーザーから1260万ユーザーに増加しました。米国でブロードバンドアクセスを持つ世帯は全体で990万世帯(2001年)から2190万世帯(2003年)まで跳ね上がりました。2倍以上増えたことになります。

少し前までダイヤルアップ回線では難しかったような大容量ファイルのダウンロードが、突然容易になったのです。


技術別の家庭のインターネット接続数  (100万世帯単位):2001年〜2003年
  2001 2003 変化率
ダイヤルアップ 44.2 38.6 -12.7%
 DSL 3.3 9.3 181.8%
ケーブル 6.6 12.6 90.9%
その他* 0.5 0.9 80.8%
インターネット世帯数 54.6 61.5 2.6%
世帯数の合計 108.6 112.6 3.7%

* 「その他」は、2003年に衛星とMMDSブロードバンドを持つ40万世帯を含みます。2003年の個別のインターネット接続世帯数の合計は、四捨五入により、合計カテゴリーの世帯数と一致しません。

このことは2002から2003年のサウンドカードに対するソフトウェアの売上率の急落と密接に関係しています。サウンドカードの売り上げが急増するなか、ソフトウェアの売り上げは水平線をたどりました。グラフの黄色い売上比率の下落線は、2002年に比べて2003年はサウンドカードの購入者がほぼ倍にまで膨らんだのに対し、 ソフトウェアを購入した人はほぼ同数だったことを示しています。

サウンドカードの売り上げに伴って、ソフトウェアの売り上げも伸びることが期待されますので、ここでソフトウェアの海賊行為が蔓延している確かな証拠を見ることができます。サウンドカードを購入した人たちが新しいサウンドカードと一緒に使用するソフトウェアを違法にダウンロードしているのです。

サウンドカードに対するソフトウェアの売上率は下がり続け、1997年には5.66だったものが、2006年には最低の1.21を記録しました。

考慮すべき例外

私たちが1つのサウンドカードに対して必ず1つのソフトウェアの売り上げがあると提言することは無知なことであり、単純に間違っています。考慮すべき例外がたくさんあります。サウンドカードを購入してもソフトウェアツールは購入しない例をいくつか挙げます。 :

• 古いサウンドカードを新しいサウンドカードへアップグレードした場合
• サウンドカードにバンドルされたソフトウェアを使用する場合
• サウンドカードを音楽とは関係ないアプリケーションで使用する場合

結論

これらのすべてのことは、音楽ソフトウェア業界にとって何を意味するのでしょうか?平たく言えば、音楽制作に必要なサウンドカードを購入する人が大勢いる中、そのサウンドカードと一緒に使用するソフトウェアが買われていないと言うことです。

もちろんサウンドカードの中にはソフトウェアがバンドルされたものもありますが、購入されたバンドルソフトのうちの10%以下しか実際には使われていないと、最も楽観的な専門家でさえもが予想するのです。サウンドカードを購入した多く人が違法コピーを使用しているのです。

さらには、このデータのもう1つの違った分析を紹介します。2006年のサウンドカードの売上高は1997年の売上高の12倍以上です。しかし2006年の音楽ソフトの売上高は1997年の売上高の2.7倍にとどまっています。上のグラフをもう一度ご覧ください。比率を表す線はひとつの方向へ向かっています。高音質なサウンドカードが必要な人はどのような人でしょうか? 内蔵のサウンドでは事足りない人はどのような人でしょうか? それは音楽を制作する人たちです。彼らこそが音楽ソフトウェア会社の潜在的な顧客なのです。

IMSTAはこのトレンドに抵抗しようとしています。このメッセージを広く伝えようとしています。どうか力を貸してください。 音楽ソフトウェアの業界は、すべての音楽やすべてのミュージシャンにとって価値があるはずです。

正しい事をしてください。使用するソフトウェアは購入しましょう!