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IMSTAメンバーインタビュー

コリン・マクドウェル
Colin McDowell, McDSP CEO & CTO

コリン・マクドウェルがMcDSPを立ち上げた時、彼の開発マシンは予備のベッドルームにある1台のMacだけだった。いまではEQ、コンプレッサー・プラグインの定番として認知されているFilterBank、CompressorBank、MC2000も、そんな限られた開発環境から生まれてきた。

コリン・マクドウェルは、自分の作った製品について話し始めたら1製品につき1週間はかかるね、といって笑う。そんな努力と、思い入れの詰まった製品も、クラックされた時に売上が10%にまで落ち込んだ、という。状況が変わったのは、2002年。iLokとMac OS Xが普及しはじめたのだ。McDSPでもすぐにiLokに対応し、正規ユーザーに無償でアップグレードを提供した。クラック版はMac OS Xでは使えなくなったが、そのユーザーの多くが正規製品の購入に走った。その時点ではすでに、McDSPプラグインなしにはミックスできないようになっていたのだ。

当時を振り返って、コリン・マクドウェルはこう語る。「2002年には注文が殺到しはじめて、休日返上で毎日出荷処理をしていました。家の外にオフィスを借り、従業員を雇って、と会社を軌道に乗せることができたのは、その後のことです。やっとで、ゆっくり眠れるようになりました」。


コリンさん、まずは簡単に自己紹介してもらえますか?

まず、デジタル・シグナル・プロセッシングについて学んだ後、IBM、Digidesign、Dolbyで働き、その後でMcDSPを立ち上げました。初期のMcDSPプラグインは、ほとんど私がひとりで開発していました。現在では、有能なチームに恵まれて、次世代のMcDSP製品の開発を進めています。趣味は、音楽を作ったり、古臭いアナログ・シンセを集めたり、ホッケーをしたり、子供と遊ぶことです。


音楽に関わりはじめたきっかけは?

子供の頃に受けた音楽のレッスンは、自発的というより強制されるところから始まっていたのですが、いざ習い始めてみると楽しんでいる自分を発見したのです。私はニューヨーク州のバッファローで育ったのですが、Moog Musicがすぐ近くにありました。だから、Micro Moogを手にしたのも、自然な流れだったといえるでしょう。そのシンセで親のステレオを壊した時、この楽しみは一生続くだろうと確信しました!


いまでも音楽を演奏する時間はありますか?

はい。キーボードやギターを弾いています。私の家には音楽室があるのですが、完全に防音されている訳ではないので、家族や近所の人は迷惑しているでしょうね。もう、Micro Moogは手元にはありませんが、Memorymoog(チューニングも良好!)など、いろんなアナログ・シンセがありますよ。最近は、娘2人も一緒に演奏することがあるので、妻は休める時間ができて喜んでいるでしょう。


McDSPを設立してから、どれくらいですか?

立ち上げたのは1998年からだから、11年以上ですね。


McDSP設立前について、少し説明してもらえますか?

オーディオ関係では、Digidesign、Dolbyに勤務していました。Digidesignでは、サードパーティがDAE(Digidesign Audio Engine)を使って、Pro Toolsハードウェアにアクセス可能なアプリケーションを作るベースとなる「TestFic」というアプリケーションを開発したり、いくつかのPro Toolsプラグインを作ったりしました。Mutli-Shellという、複数のプラグインで一つのDSPを共有できるシステムの基礎をつくったのも、私です。

Dolbyでは、主にDolby Eオーディオのエンコーダー、デコーダーの開発に携わっていました。その時の仕事は、Technical Emmy賞を受賞しています。


McDSPでは、ソフトウェア海賊行為に対して、どのように対処していますか?

現在のMcDSP製品では、PACEのiLok USB Smart Keyを使ったオーサライゼーションを採用しています。

残念なことですが、過去の経験から「人々は、必要に迫られないとお金を支払わない」ということを学んだからです。まあ、それが人間というものでしょう。ともかく、正規ユーザーが製品、サービスへの代価としてお金を支払う、というシステムが必要なのです。そのシステムとして、iLokを選びました。「使用するソフトウェアは購入しましょう」ということですね!!


IMSTAに入会したのは、何故ですか?

IMSTAの人々は、とても良い仕事をしていると思ったからです。正規購入したソフトウェアの使用を促進している一方で、そのやりかたが高圧的でなく、ソフトウェア・ユーザー寄りの視点を持っているところが気に入りました。


McDSPのような会社が、IMSTAメンバーになることによる利点は何でしょう?

現在の会員のリストを見れば、IMSTAの「使用するソフトウェアは購入しましょう」というメッセージは、多くの関係者に支持されていることがわかります。そんな素晴らしい人達の一員になれるというだけでも、嬉しいですよね! 参加メンバーが増え、メッセージを届ける活動に協力すればするほど、ソフトウェア海賊行為に対する意識が高まることでしょう。


最後に、皆さんにしている質問です。海賊行為をしている人たちに対して、伝えたいことはありますか?

The IMSTA 私もエンジニアですから、ソフトウェアのコピー・プロテクションにハッキングして破壊するというチャレンジが、多くの人々を惹きつける気持ちは理解できます。エンジニアというのは、課題が困難なほど燃える人種ですからね。実際、ハッカーの中にはとても賢い人がいます。でも結局は、その行為が仲間のエンジニアやユーザーを傷つける、という視点が抜け落ちています。

海賊行為をする人がいるから、コピー・プロテクト・システムについての研究開発が必要になる。そして、その研究開発費は製品価格に上乗せされることになる。クールじゃないですよね。 私が有能なハッカーの皆さんに言いたいのは、その能力を別のこと向けましょう、ということです。地球温暖化の解決、癌治療薬の発見、アナログ・シンセのOSの改良から、私の足にぴったりと合うホッケー靴の開発まで、やることはたくさんあります。

冗談を言っているのではありませんよ! 才能豊かな皆さんの知恵を集めれば、世界をよりよい場所にすることができるのです。